孤高の洋画家・鹿子木孟郎!『妻の肖像』が暴く近代美術の真実
孤高の洋画家・鹿子木孟郎!『妻の肖像』が暴く近代美術の真実にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。
鹿子木がフランスへ渡り、門を叩いたのは名門私塾アカデミー・ジュリアンだった。そこで彼を鍛え上げたのが、フランス歴史画の巨匠ジャン=ポール・ローランスである。デッサンの狂いをミリ単位で許さない厳格な指導のもと、鹿子木は解剖学的な正確さと量感を徹底的に叩き込まれた。
ローランスから受け継いだのは、甘美な装飾性ではなく、対象の骨組みを的確に捉える重厚なアカデミズム絵画の真髄だった。当時、パリではすでに新しい前衛表現が芽吹き始めていたが、鹿子木は頑なに揺らがなかった。流行を追う軽薄さを嫌い、古典の肉体描写と陰影の構築に己の画業を捧げる決意を固めたのである。