「眠くなったら寝る」生活は正解か?体内時計崩壊の罠と熟睡の新常識
「眠くなったら寝る」生活は正解か?体内時計崩壊の罠と熟睡の新常識について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をお届けします。
ネット上のコミュニティやSNSでは、「眠くなったら寝るのが一番自然で体に良い」「無理に定時に寝ようとするから眠れないのだ」という言説が定期的に拡散される。この主張には一面の真理がある。眠気がない状態で無理に寝床へ入ると、脳が「ベッド=眠れず焦る場所」と学習してしまい、不眠を悪化させるからだ。睡眠医学における認知行動療法(CBT-I)でも、寝床に入るのは眠気を感じてからという指導原則が存在する。
しかし、ここには起床時刻を固定しないまま就寝時刻だけを自由にするという致命的な誤解が潜んでいる。人間の体内時計を司る「概日リズム(サーカディアンリズム)」の周期は、地球の自転周期(24時間)よりも約10〜15分程度長い約24.2時間であることが分かっている。外部からのリセット刺激がない状態では、人間の睡眠覚醒リズムは自然と後退(夜型化)していく性質を持つ。
「眠くなったら寝る」というルールだけで生活していると、昨日は23時、今日は24時半、明日は深夜2時といった形で就寝時刻が遅縮していく。その結果、平日の朝起きるのが著しく困難になり、日中に強い眠気や集中力低下を引き起こす眠くなったら寝る生活のデメリットが表面化する。自由気ままな睡眠は、生体リズムの同調を崩す最大の引き金になり得るのだ。