永小作権とは?地上権や賃借権との違い・現代の実態を徹底解剖
永小作権とは?地上権や賃借権との違い・現代の実態を徹底解剖の詳細について、専門知識を取りまとめてご紹介します。
法学上は極めて重要な地位を占める永小作権ですが、法務局の不動産登記統計や農業委員会の現場データを見ても、現代において新規に設定登記される事例は年間に数件あるかないかという水準に落ち込んでいます。なぜ、永小作権はここまで姿を消したのでしょうか。
その背景には、戦後直後に行われた「第二次農地改革(自作農創設特別措置法)」があります。戦前の日本農業は、広大な農地を所有する不在地主が小作人から高額な現物小作料を徴収する封建的な小作制度の上に成り立っていました。農地改革では、地主が所有する小作地が政府によって強制買収され、実際に耕作を行っていた小作人に格安で売り渡されました。その結果、全国の農家の大部分が「自作農」となり、小作農という身分構造自体が解体されたのです。
さらに、昭和27年に制定された「農地法」が決定打となりました。農地法では小作人の権利が強力に保護され、通常の賃貸借契約であっても解約制限や更新拒絶の厳格な制限(農地法第18条)が課されました。その結果、地主側からすれば「一度設定すると土地を取り戻せず、勝手に第三者へ譲渡される永小作権を設定するメリットが一切ない」状態となり、借り手側も「わざわざ登記手続きや厳格な物権契約を結ばずとも、農地法の賃借権で十分に保護される」状況が完成したのです。
法務現場の実務家からは「数千件の登記簿をめくって数件見つかるかどうか。見つかったとしても大正・昭和初期に設定されたまま放置されている休眠状態の登記がほとんど」という証言が聞かれます。