手術室はなぜ陽圧なのか?陰圧室との違いや感染を防ぐ空調の仕組み
手術室はなぜ陽圧なのか?陰圧室との違いや感染を防ぐ空調の仕組みの真相について、最新情報を取りまとめてご紹介します。
手術室はなぜ陽圧に保たれているのか。その決定的な理由は、外部からの細菌や空気感染源の侵入を遮断し、患者の術後感染を防ぐためです。気体には「圧力の高い場所から低い場所へと流れる」という物理法則があります。手術室内の空気圧をあえて周囲の廊下や前室よりも高く設定しておくことで、スタッフの出入りなどでドアが開いた瞬間、空気は必ず「手術室内部から廊下へ」と勢いよく吹き出します。
もし手術室が廊下と同じ気圧(等圧)、あるいは廊下より気圧が低い(陰圧)状態だった場合、ドアの開閉に伴って廊下に漂うホコリ、黄色ブドウ球菌などの常在菌、人の皮膚から剥落した角質片などが一気に室内へ吸い込まれてしまいます。開腹手術や人工関節置換術などの現場において、わずか数個の浮遊細菌が術野に落ちるだけでも、生命に関わる重篤な術後感染症(SSI: Surgical Site Infection)を引き起こす引き金になりかねません。
吹き出す空気流そのものを「見えない防壁」として機能させ、外部の汚染空気を物理的にシャットアウトする。これこそが、手術室陽圧の理由における最大の根幹です。