水島藤一郎の現在と経歴|年金機構を10年率いた男の功績と退任理由
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水島藤一郎氏のキャリアの原点は、日本の金融エリートとしての確かな実績にあります。東京大学経済学部を卒業後、1970年に住友信託銀行(現三井住友信託銀行)に入行。企画、資金、受託財産といった信託銀行の根幹部門を歩み、2001年には取締役、2006年には取締役副社長へと上り詰めました。
信託銀行という「顧客の資産を長期にわたり厳格に預かる」プロフェッショナル集団の頂点にいた人物が、なぜ火中の栗を拾うように日本年金機構の理事長を引き受けたのか。就任当時の2013年1月、旧社会保険庁の解体から発足した年金機構は、ずさんなデータ管理、年金記録漏れ、相次ぐ職員のモラルハザードによって世論の猛反発を浴びていました。
当時の民主党政権から自公政権への移行期において、政府が求めたのは「親方日の丸の甘えを断ち切れる、冷徹なまでの計数管理能力と改革マインドを持った民間経営者」でした。資産運用と顧客勘定の扱いに最も厳しい信託銀行のトップ経験者であり、かつ強いリーダーシップを持つ水島氏に白羽の矢が立ったのは、まさに必然の選択だったといえます。水島氏自身も就任時の会見で「年金事業は国民生活のセーフティネットそのもの。その信頼回復に全力を尽くす」と不退転の決意を語っていました。