現存する天守閣12選!なぜ残った?国宝五城の違いと見どころ徹底解剖
現存する天守閣12選!なぜ残った?国宝五城の違いと見どころ徹底解剖についての疑問解決ガイドをお届けします。
現存十二天守の中でも、建築美・歴史的希少性・保存状態において最高ランクに位置付けられているのが「国宝五城」です。それぞれの城が持つ独自の構造的見どころを解説します。
1. 姫路城(兵庫県)|世界を魅了する連立式天守の最高到達点
白漆喰総塗籠造の白壁から「白鷺城」の異名を持つ姫路城は、大天守と3つの小天守(東小天守・乾小天守・西小天守)を渡櫓(わたりやぐら)でロの字型に連結した「連立式天守」の完成形です。どの角度から敵が攻め込んでも死角が生じない軍事要塞としての冷徹な機能美と、幾重にも重なる屋根の破風が織りなす芸術的景観が見事に融合しています。東西2本の巨大な心柱(しんばしら)が巨大建築を支える構造は必見です。
2. 松本城(長野県)|黒漆塗りの下見板が映えるアルプスの名城
北アルプスの山々を借景に、水堀に浮かび上がる漆黒の天守。戦国末期の武骨な連結式天守に、平和な江戸初期に増築された「月見櫓」「辰巳附櫓」が一体となった「連結複合式」の極めて珍しい構造を持っています。戦うための鉄砲狭間(さま)や石落としが並ぶ一方で、三方を吹き放ちにした開放的な月見櫓が同居する姿は、戦乱から泰平へと移り変わる日本の歴史そのものを体現しています。
3. 犬山城(愛知県)|木曽川の断崖にそびえる最古級の望楼型天守
織田信長の叔父である織田信康によって創建されたと伝わる名城です。天守最上階(4階)には、城郭建築の初期様式である「廻縁(まわりえん)」と「高欄(こうらん)」が巡らされており、外に出て木曽川の絶景を360度見渡すことができます。床材や柱に残る手斧(ちょうな)削りの生々しい跡など、原始的な木造建築の荒々しい息吹を間近で観察できる点が大きな特徴です。
4. 彦根城(滋賀県)|多彩な破風と軍事工夫が凝縮された徳川重臣の城
徳川四天王の一人、井伊直政に始まる彦根藩井伊家の居城です。規模こそ小ぶりであるものの、切妻破風、入母屋破風、唐破風に加え、最上階の花頭窓(かとうまど)など、多彩な建築装飾が施されています。外観の美しさとは裏腹に、天守内部には侵入者を阻む「隠し部屋」や、急勾配の階段、鉄砲を撃ちかけるための隠し狭間が無数に仕組まれており、極めて実戦的な設計思想が息づいています。
5. 松江城(島根県)|2015年に国宝へ返り咲いた実戦型漆黒天守
関ヶ原の戦いで功績を挙げた堀尾吉晴が築城した山陰唯一の現存天守です。2015年、天守完成の年代(慶長16年=1611年)を特定する「祈祷札」が発見されたことで、重要文化財から国宝へと昇格を果たしました。松江城の真骨頂は、短い木材を巧みに束ねて鉄帯で補強した「包板(つつみいた)の柱」や、2つの階を貫通して強度を保つ「通し柱」の構造配置にあります。資材不足を高度な大工技術で克服した、日本の木造建築技術の結晶です。