ミャンマー語のこんにちは「ミンガラバー」は使わない?現地挨拶の真相
ミャンマー語のこんにちは「ミンガラバー」は使わない?現地挨拶の真相について押さえておきたい 注意点を分かりやすく解説いたします。
「ミャンマー人は日常でミンガラバーと言わない」という言説は、言語学的事実に基づいています。この疑問を解く鍵は、ミンガラバーの発音と意味のルーツにあります。「ミンガラ(Mingala)」は仏教の聖典言語であるパーリ語の「マンガラ(maṅgala=吉祥、めでたいこと、幸福)」に由来し、語尾の「バー(Par)」は丁寧さを添える助詞です。つまり、直訳すると「吉祥あれ」「幸運に恵まれますように」という、極めて厳かで格調高い祈りの言葉なのです。
歴史を紐解くと、このフレーズが挨拶として定着したのは1960年代以降の国家教育政策によるものです。それまでのビルマ語には、英語の「Hello」に1対1で対応するような包括的な挨拶語が存在しませんでした。そこで、学校教育の現場で児童・生徒が教師に対して一斉にお辞儀をしながら敬意を表す号令として「ミンガラバー」が導入され、教科書を通じて国中に普及していったという経緯があります。
これがミンガラバーを使わない理由と真相の根本にあります。日本人の感覚に置き換えるならば、近所のコンビニに入ったり同僚と廊下ですれ違ったりした際に、「ご健勝をお祈り申し上げます」や「麗しき良き日をお迎えですね」と声をかけるような距離感が生じてしまうのです。決して下品な言葉やタブーではありませんが、日常の何気ない会話で使うにはあまりにも硬く、儀礼的すぎるため、ネイティブ同士の日常会話では不自然な響きを持ってしまいます。