大相撲「猫騙し」は反則か?白鵬炎上の真相と奇策が抱える大リスク
大相撲「猫騙し」は反則か?白鵬炎上の真相と奇策が抱える大リスクについて知っておくべき ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。
猫騙しという技が近年最大の社会的論争を呼んだのは、2015年11月の大相撲九州場所10日目のことでした。当時、大相撲界の頂点に君臨していた第69代横綱・白鵬が、関脇・栃ノ心との立ち合いで突如として猫騙しを繰り出したのです。
立ち合い、白鵬は栃ノ心の眼前で両手をパチンと叩きました。巨漢の栃ノ心は一瞬動きを止め、その隙を逃さなかった白鵬が素早く右上手を取って寄り切りで完勝を収めました。さらに白鵬は同場所12日目の松鳳山戦でも再び猫騙しを敢行し、勝利を収めています。
結果として勝利を手にした白鵬でしたが、取組直後からメディアや好角家の間で激しい批判が巻き起こりました。勝負後の報道陣の取材に対し、当時の横綱審議委員会(横審)や日本相撲協会の幹部からは極めて厳しい意見が相次ぎました。
「大相撲の最高位である横綱は、相手の攻めを堂々と受け止めてねじ伏せる『後の先(ごのせん)』や『受けて立つ相撲』を見せるべき存在である」という伝統的価値観が根強く存在するからです。小兵力士が大型力士を倒すための知恵として繰り出すなら拍手喝采を浴びる技であっても、「圧倒的な実力を誇る絶対王者である横綱が、立ち合いから相手を惑わす奇策に頼る必要がどこにあるのか」という点が、激しい炎上の引き金となりました。
一方で、白鵬本人は当時の取材や手記において「相手の呼吸を崩し、勝負に勝つための合理的な戦術の一つ」「ルール違反ではない」という趣旨の姿勢を示しており、「競技スポーツとしての徹底した勝利至上主義」と「神事・伝統芸能としての横綱の美学・品格」という二つの価値観が真っ向から衝突した象徴的事件として相撲史に刻まれています。