チェーンソーのキックバックはなぜ起きる?原因と命を守る防護策の全貌
チェーンソーのキックバックはなぜ起きる?原因と命を守る防護策の全貌について押さえておきたい 理由を厳選して解説いたします。
キックバックが避けられない物理現象である以上、産業機械としてのチェーンソーには、事故を寸前で食い止めるための高度な機構が組み込まれています。その中心核となるのがチェンブレーキ仕組みです。
現在流通しているチェンブレーキには、大きく分けて2つの作動方式が搭載されています。第一が「機械式(手動)作動」です。作業者の左手前方にあるフロントハンドガードが、跳ね上がった本体の挙動によって左手首や甲に衝突し、前方に押し込まれることで強力なスプリングが解放され、クラッチドラムを取り囲むスチール製ブレーキバンドを一瞬で締め付けます。
そして第二の、より重要視される機構が「慣性自動作動式チェンブレーキ」です。もし作業者の身体や左手がハンドガードに触れなかったとしても、本体が上方向へ猛烈な加速度で跳ね上がった瞬間の慣性力(G)を感知し、おもりの役割を果たすハンドガードが相対的に倒れ込むことで、手首の接触を待たずにブレーキを作動させます。この間、わずか0.06秒から0.08秒。ソーチェンが刃先をむき出しにして旋回したまま直撃する最悪の事態を防ぐための電子制御に頼らない純機械式の安全システムです。
世界的な林業機械メーカーも独自の安全技術を進化させています。ドイツのSTIHL(スチール)が誇るスティールチェンブレーキ「QuickStop Super(クイックストップ スーパー)」は、従来のキックバック感知時だけでなく、右手のリアハンドルから手が離れた瞬間にもソーチェンが瞬時に停止する追加ブレーキシステムを採用しています。枝払いや移動時の不意な誤操作を防ぐ上で極めて高い評価を得ています。
一方、スウェーデンのHusqvarna(ハスクバーナ)が展開するハスクバーナ安全機能「TrioBrake(トリオブレーキ)」は、従来の左手ガードおよび慣性作動に加え、右手首でも作動させられるリアハンドガードブレーキを装備しています。不自然な屈み姿勢や無理な伐倒角度での作業を物理的に抑制し、作業者が常にエルゴノミクス(人間工学)に基づいた安全な立ち位置を保つよう設計されています。また、両社ともに先端アールが小さく設計された「カービングバー」や、背の低い特殊形状でキックバック発生エネルギーを抑える「ローキックバックチェン」の普及に力を注いでいます。