ズッコケ三人組のその後と現在|大人編の衝撃結末と中年期の過酷な現実
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小学生編の完結から1年後の2005年、往年の読者を激震させたのが大人向け小説として始動した『ズッコケ中年三人組』でした。主人公たちが40歳を迎えた瀬戸内海の架空都市・花山町を舞台に、児童文学のファンタジーを完全に脱ぎ捨てた骨太な人間ドラマが展開されます。
ファンが最も衝撃を受けた要素のひとつが、ズッコケ三人組のハチベエの結婚相手です。行動力抜群でお調子者だったハチベエ(八谷良平)は、家業の八百屋「八百八」をコンビニエンスストアへと業態転換し店長に就任。そして伴侶に選んだのは、小学生時代に事あるごとに対立していたあの学級委員長・荒井陽子でした。二人の間には3人の子どもが生まれ、陽子は持ち前の勝気さと聡明さで店と家庭を切り盛りし、ハチベエを尻に敷きつつも強い絆で支え合っています。
一方、三人組の頭脳だったズッコケ三人組のハカセの職業は、順風満帆とは程遠い苦闘の連続でした。ハカセ(山中祥平)は猛勉強の末に名門大学から大学院(法学研究科)へと進学したものの、司法試験の壁に阻まれ続け浪人生活が長期化。最終的に法曹の道を断念し、40代にして母校である花山第二中学校の社会科非常勤講師という不安定な非正規雇用に就きます。独身を貫き、老いた母親と実家で暮らす姿には、ロストジェネレーション世代が直面した厳しい雇用環境が色濃く投影されています。
そして三人の中で最も波乱万丈な人生を辿ったのが、おっとりした性格だったズッコケ三人組のモーちゃんの現在です。モーちゃん(奥田三吉)は大阪の繊維問屋に就職し、松本由美という女性と結婚して娘・美幸を授かりました。しかしバブル崩壊後の不況で会社が倒産。リストラの憂き目に遭い、生活苦から家庭は崩壊して離婚に至ります。失意のなか花山町へ出戻ったモーちゃんは、ハチベエの店を手伝いながら、ビル警備員や契約社員を転々とする苦難の日々を過ごすことになります。
シリーズの掉尾を飾る『ズッコケ熟年三人組』(2015年刊行)では、彼らは50歳の大台に達します。ハカセの専任教員への採用問題、モーちゃんの再婚をめぐる逡巡、親の介護や病といった初老の課題に直面しながらも、彼らは決して絆を手放しませんでした。最終回の結末において、3人はかつて駆け抜けた花山町の風景を眺めながら、それぞれの不完全な人生を受け入れ、それでも前を向いて生きていく静かな連帯を確認します。劇的な大逆転劇ではなく、等身大の庶民としての誇りを抱いて歩き続ける幕引きは、同世代の読者に深い感動を与えました。