野球の打点と得点の違いとは?プロが明かす定義と記録の盲点
野球の打点と得点の違いとは?プロが明かす定義と記録の盲点について知っておくべき 事実を分かりやすい構成で解説いたします。
チームのスコアボードに「1」が刻まれながら、打席の打者には1打点も認められないケースが野球には多々存在します。ここを正確に把握していないと、試合後の新聞やウェブニュースの個人成績を見て違和感を覚えることになります。まずは現場で頻出する打点がつかないケース一覧を整理します。
ファンが最も納得しにくいシチュエーションの筆頭が、併殺打で打点がつかない理由です。無死満塁や一死一・三塁の場面で打者が放った痛烈な内野ゴロが二重殺(ダブルプレー)となり、その間に三塁走者が歓声を浴びながらホームインしたとします。チームには待望の1点が入り、スタンドは盛り上がりますが、打者には公認野球規則9.04(b)(1)の規定により打点が一切つきません。
なぜこのような厳しい処置が取られるのか。野球規則の編纂思想において、併殺打は「攻撃側が1打席で相手守備陣に2つのアウトを献上した極めて痛烈な打撃失敗」とみなされます。たまたま走者が三塁にいたことで生還できたに過ぎず、チームに致命的なアウトカウント増をもたらした打撃行為に対して、個人の名誉である「打点」という栄誉を与えるわけにはいかないという厳格な信賞必罰の哲学が根底にあるのです。
もうひとつの難所が、相手エラーによる得点で打点はつくかという論点です。基本原則として、野手の失策がなければ走者が本塁に生還できなかったと公式記録員が客観的に判断した場合、打者に打点は与えられません。例えば二死二塁から内野ゴロを放ち、一塁手への悪送球の間に二塁走者が一気にホームへ還った場合、生還の主因は打撃ではなく失策にあるため、打点は記録されず、相手投手の自責点にもなりません。
ただし、ここには記録員の高度な裁量が介在します。例えば一死三塁で打者が放った大飛球を外野手が落球(失策)した場合、犠牲フライ時の打点記録ルールが適用されます。記録員が「もし外野手が捕球していても、三塁走者は余裕を持ってタッチアップで生還できただろう」と判定すれば、打者には失策出塁ながら「犠飛」と同等の価値が認められ、正当な「1打点」が授与されます。
なお、打撃行為を伴わない選球眼の勝負である押し出し四死球の打点扱いについては、公認野球規則9.04(a)(2)により文句なしに「1打点」が打者に付与されます。バットを振らずとも、打席内での選球によって走者を本塁へ押し出したという直接的な打席結果が正当に評価されるためです。