マラドーナ「神の手」はなぜ認められた?世紀の誤審と死角の真相

マラドーナ「神の手」はなぜ認められた?世紀の誤審と死角の真相の真相について、最新情報を基に徹底解説します。

問題のシーンが起きたのは後半6分。ペナルティエリア手前で相手ディフェンダーのクリアミスが高く浮き上がり、ゴール前へと落下しました。アルゼンチンの至宝ディエゴ・マラドーナは、身長165cmの体を限界まで跳躍させ、183cmのイングランド代表GKピーター・シルトンと空中で激突。その刹那、マラドーナの左拳がボールを捉え、ゴールマウスへと吸い込まれました。

明らかな反則がそのまま得点として認められた直接的な理由は、審判団のポジショニングと物理的な死角の重複にあります。当時ピッチ上で笛を吹いていたチュニジア出身のアリ・ビン・ナセル主審は、ペナルティエリアの外側、マラドーナの背後斜め後方に位置していました。主審の視界からは、マラドーナの後頭部がボールと左手を完全に覆い隠す形となり、ヘディングシュートに見えたのです。

一方、判定を補佐すべき立場にいたブルガリア人の線審(現・副審)ボグダン・ドチェフ氏は、タッチライン際からインサイドを見つめていました。しかし、シルトンの大きな背中がマラドーナの左腕の軌道を遮断するアングルとなり、ハンドの確証を得ることができませんでした。当時のFIFAプロトコルでは「線審は主審より前に出ず、主審が確認を求めてこない限り決定的な合図を出さない」という不文律が強く働いており、互いに責任を押し付け合う心理的空白が生まれたのです。

マラドーナ本人の悪魔的なまでの試合巧者ぶりも判定を決定づけました。後年の回想録で本人が明かしている通り、ボールがネットを揺らした直後、マラドーナは躊躇することなく歓喜のダッシュを開始し、チームメイトに向かって「早く駆け寄って俺を抱きしめろ!審判が無効にしてしまう前に!」と叫びました。この一切のやましさを感じさせない堂々たる振る舞いが、迷っていた審判団の心理的ハードルを完全に消し去ったのです。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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