弓道で差がつく袴の着方!審査で減点を防ぎ的中を生む美しき立ち姿
弓道で差がつく袴の着方!審査で減点を防ぎ的中を生む美しき立ち姿の基本情報から最新動向までをわかりやすく整理しました。
なぜここまで袴の着付けが厳格に求められるのか。その答えは、近代弓道の歴史を切り拓いた先人たちの身体観にある。明治から大正にかけて近代弓道の基礎を築き、日置流の技術を学生たちに広めた本多利実(ほんだ としさね)は、射の土台となる足腰の張りと姿勢の端正さを徹底して説いた。
さらに「弓聖」と称された阿波研造(あわ けんぞう)の思想を紐解けば、着付けとは技術以前の「自己の統一」に他ならない。角帯と袴の前紐を腰骨に力強く食い込ませる感覚は、骨盤を前傾も後傾もさせず、背骨を真直ぐに立てるためのセンサーとして機能する。帯が緩ければ腰椎がぐらつき、引き分けの際に生じる強烈な弓の反作用を上半身で受けてしまうため、矢所が上下左右に散る。逆に、寸分の隙もなく着付けられた馬乗袴は、射手の骨盤をコルセットのように支持し、下半身の安定を極限まで高める。的中精度を左右する「不動の胴造り」は、袴の紐を固く引き絞ったその瞬間から始まっているのだ。