名画『種をまく人』の真相|ミレーとゴッホの差と山梨が誇る至宝の全貌
名画『種をまく人』の真相|ミレーとゴッホの差と山梨が誇る至宝の全貌に関する最新のニュースを分かりやすく解説します。関心のある方は必見です。
美術ファンの間で長年議論の的となってきたのが、「『種をまく人』はアメリカのボストン美術館と日本の山梨県立美術館のどちらがオリジナルなのか」という疑問です。結論から言えば、双方がミレー本人の手によって描かれた真作(オリジナル)です。
ミレーは入念な準備デッサンを重ねた後、納得のいく構図を完成させる過程で同一テーマの油彩画を複数制作しました。1850年のサロンに出品された作品は、ボストン美術館所蔵のものとされています。この作品は、ミレーを早くから支援していたアメリカの画家ウィリアム・モリス・ハントを通じてアメリカに渡り、ボストンの富豪クインシー・アダムズ・ショーのコレクションを経て、1917年にボストン美術館に寄贈されました。
一方、山梨県立美術館が所蔵する作品は、サロン出品作とほぼ同時期(1850年頃)に制作された同寸大の油彩画です。構図にはわずかな差異が見られ、遠景に舞うカラスの羽ばたきや、丘の傾斜のニュアンス、農夫の足元の描写において、より洗練された筆致が確認できます。
この山梨の至宝が日本にもたらされた来歴と購入経緯は、昭和の美術界における大事件でした。1977年、ニューヨークの老舗画廊ワイルドスタインが所有していた本作がオークションに出品されるという情報が入ります。当時の山梨県知事・田辺国男氏は、新設予定だった山梨県立美術館の目玉収蔵品として、この名画の購入を決断しました。その落札額は、当時の地方自治体としては前代未聞の18億2500万円(手数料等を含む総額)に達したのです。