『ダッタン人の踊り』名曲の真相と韃靼人の正体!吹奏楽と名盤徹底解剖
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クラシック音楽史上屈指の人気を誇るこの楽曲を生み出したダッタン人の踊りの作曲者は、19世紀ロシアの「ロシア五人組」のひとり、アレクサンドル・ボロディン(1833–1887)です。ボロディンは音楽史において極めて特異な経歴を持つ人物であり、本職はサンクトペテルブルク医科大学の教授を務める高名な有機化学者でした。彼にとって作曲は本業の合間を縫って行う「日曜日だけの趣味(日曜作曲家)」に過ぎなかったと本人の書簡でも語られています。
そんなボロディンがロシア中世の英雄叙事詩『イーゴリ公遠征状』を題材に、ライフワークとして心血を注いだのが歌劇『イーゴリ公』です。1869年から着手されたこのオペラは、公務や研究の多忙さから筆が遅々として進まず、着工から18年が経過した1887年、ボロディンは大学構内での謝肉祭の祝宴中に動脈瘤破裂で急逝してしまいます。作品は未完のまま残されました。
未完のスコアに驚愕した親友のニコライ・リムスキー=コルサコフと、若き天才弟子のアレクサンドル・グラズノフが直ちに遺稿の整理に着手。ボロディンが生前にピアノで弾いて聴かせていた記憶や断片的なスケッチを頼りに、リムスキー=コルサコフがオーケストレーションを施し、グラズノフが序曲や第3幕を補筆完成させました。『イーゴリ公』第2幕の終盤に位置する『ダッタン人の踊り』は、まさにロシア音楽界の絆と情熱が結集した奇跡の結晶と言えます。