ドロップCチューニング完全解説|失敗しない弦選びと調整の極意
ドロップCチューニング完全解説|失敗しない弦選びと調整の極意の特集記事を解説します。専門的な知識がチェックできます。
ネット上の簡易解説記事では「弦を太くすればドロップCのセットアップは完了」と書かれているケースが散見されますが、これはリペア工学的に見て重大な誤りです。弦を太くしても、チューニングを落としたギターの木部やパーツには大きな物理変化が起きています。
まず警戒すべきは、ドロップCネック反り対策です。前述の通り全体の弦張力が低下すると、これまで弦の引っ張る力と拮抗していたトラスロッドの力(逆反り方向への張力)が勝ってしまい、ネックが「逆反り」を起こします。逆反りになると、1〜5フレット付近のローポジションで弦がフレットに接触し、致命的なバズが生じます。この場合、トラスロッドを「反時計回り(緩める方向)」に45度〜90度程度回し、わずかな順反り(1フレットと最終フレットを押さえた際、8フレット付近にハガキ1枚分の隙間ができる状態)へと調整する必要があります。
次に不可欠なのが、ドロップCオクターブ調整方法の再設定です。弦は太くなればなるほど、そしてテンションが緩くなればなるほど、芯線の剛性により「実効弦長」を長く取る必要があります。つまり、ブリッジのサドルを通常よりも大幅にボディエンド側(後方)へ後退させなければオクターブピッチが合いません。12フレットの実音とハーモニクス音を比較し、実音が高い場合はサドルを後ろへ下げ、実音が低い場合は前に出します。ストラトキャスターやチューン・O・マチック(TOM)ブリッジの場合、6弦サドルのスプリングを外して限界まで後退させないとピッチが合いきらないケースもあるほどです。
さらに見落とされがちなのが「ナットの溝幅」です。標準的なギターのナットは.042や.046の弦に合わせて切られています。そこに.052や.056といった極太弦を無理やり押し込むと、弦が溝の底まで沈み込まずに浮いてしまい、1フレットのピッチが極端にシャープする原因になります。必要に応じて専門工具(ナットファイル)を用いて、溝の幅だけを丁寧に広げる調整を行うことが、ピッチ精度の劇的な向上につながります。