サッカー史を揺るがす「神の左手」事件の真相とVar誕生の必然

サッカー史を揺るがす「神の左手」事件の真相とVar誕生の必然を詳しくリサーチ! 読者が気になる 重要ポイントを凝縮して配信します。

サッカーのルールブックにおいて、競技者が意図的に手や腕でボールを扱う行為は古くから最も厳格に罰せられる反則の一つです。しかし、歴史の節目では、世界最高峰のタレントたちによる「ハンド疑惑」が数々のドラマと悲劇を生み出してきました。

その原点にして象徴が、1986年メキシコW杯準々決勝でディエゴ・マラドーナが見せた「神の手ゴール」です。イングランドのGKピーター・シルトンとの空中戦において、マラドーナは頭ではなく左拳でボールをゴールへ叩き込みました。試合後の会見でマラドーナが放った「少しはマラドーナの頭で、少しは神の手で」という発言は、フォークランド紛争直後の両国の政治的緊張感も相まって神話化されました。

さらに2007年6月9日のリーガ・エスパニョーラ、バルセロナ対エスパニョール戦では、当時弱冠19歳のリオネル・メッシがマラドーナを瓜二つで再現するかのように、右クロスに対してジャンプしながら左手で押し込むハンドゴールを記録。これも主審に見逃され、得点としてカウントされています。

事件名・選手発生時期・対戦カード反則の態様・主審の死角メディア・後世への影響度マラドーナの「神の手」1986年6月22日
アルゼンチン vs イングランドヘディングに見せかけ左拳でミート。主審背後からの進入で見極め不能。サッカー界最大の伝説として定着。フォークランド紛争の代理戦争として過熱。メッシの「エスパニョール戦ハンド」2007年6月9日
バルセロナ vs エスパニョール低めのクロスに対し飛び込みながら左手でネットを揺らす。審判は頭部接触と誤認。「マラドーナの後継者」を証明する奇妙な符合として世界中で話題沸騰。アンリの「神の左手」2009年11月18日
フランス vs アイルランドライン外へ流れる球を左手で制止し2度打ち。背中の陰となり主審・副審共に遮蔽。外交問題へ発展し、FIFAの密約暴露を経てテクノロジー判定(VAR)の決定打に。

これら過去の事例とアンリの決定的な差異は、「ハイビジョン放送と全方位カメラが確立された時代」に起きた点です。1986年当時は限られたカメラ台数と荒い画質によって議論の余地が残されましたが、2009年には数秒後、世界中の何億人もの視聴者がアンリの故意とも取れる二度打ちを鮮明な映像で確認していました。現場の人間だけが見えず、画面の前の全員が見えているという非対称性が、サッカー界の公平性に対する根源的な危機感を煽ることになったのです。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest