マラドーナ「神の手」はなぜ認められた?世紀の誤審と死角の真相
マラドーナ「神の手」はなぜ認められた?世紀の誤審と死角の真相について詳しく解説いたします。専門家の見解をお届けします。
この準々決勝を単なるフットボールの1試合として片付けることはできません。試合が行われた1986年は、イギリスとアルゼンチンの間で領有権を巡って争われたフォークランド紛争(マルビナス戦争)終結からわずか4年後という緊迫したタイミングでした。自国の若い兵士たちが多数戦死し、敗北を喫したアルゼンチン国民にとって、イングランドとの対戦は代理戦争そのものだったのです。
マラドーナ自身も「これは単なるフットボールの試合ではない。マルビナスで倒れた若者たちの仇討ちなのだ」と周囲に漏らしていたと報じられています。国家のプライドを背負った極限の重圧下において、手段を選ばず敵を欺く行為は、アルゼンチン国民にとっては卑劣な不正ではなく、大国に対する痛快な報復劇として映りました。
さらにこの試合を不滅の伝説に押し上げたのが、「神の手」からわずか4分後にマラドーナが演じた「世紀の5人抜きゴール」です。自陣深くからドリブルを開始し、イングランドの守備陣5人とGKシルトンまでも翻弄して決めた芸術的な追加点は、FIFAから「ワールドカップ史上最も偉大なゴール」に選出されました。最も醜悪な反則と、最も美しいスーパーゴールが同一人物によってわずか数分の間に生み出されたという矛盾こそが、マラドーナという天才の二面性を象徴しています。