名優・小日向文世の素顔|2人の俳優息子と愛妻、72歳の現在地
名優・小日向文世の素顔|2人の俳優息子と愛妻、72歳の現在地の全貌を丁寧に掘り下げてご紹介します。
小日向文世のキャリアを語る上で欠かせないのが、およそ四半世紀に及んだ若い頃の下積み時代です。北海道三笠市出身の彼は、写真の専門学校を卒業後に役者を志し、1977年に串田和美が主宰する名門劇団「オン・シアター自由劇場」へ入団しました。
劇団員として19年間にわたり舞台に立ち続けたものの、舞台俳優の収入だけで生計を立てることは極めて困難でした。1996年に劇団が解散した際、小日向はすでに42歳。定期的な収入を失い、当時は結婚して間もなく幼子を抱えていた時期でもありました。貯金は底をつき、生活費を用立てるために複数の金融業者から数百万円規模の借金を重ねるなど、まさに人生の暗黒期を経験しています。
転機が訪れたのは2001年、47歳のときでした。木村拓哉主演のフジテレビ系月9ドラマ『HERO』において、お茶目でどこか憎めない末次隆之事務官役に大抜擢されたのです。当時、テレビドラマではほぼ無名だった小日向の卓越したコメディセンスと哀愁漂うリアクションは、瞬間最高視聴率36.8%を記録した社会現象の中で強烈なインパクトを残しました。
『HERO』でのブレイクを機に、映画・ドラマからのオファーが殺到。40代後半にして一気に国民的バイプレイヤーへと駆け上がった経歴は、日本演劇界における奇跡的なサクセスストーリーとして今なお語り継がれています。