なぜ医療や教育は値上がりする?ボーモルのコスト病をプロが徹底解説
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ボーモルのコスト病が最も深刻な形で現れているのが、私たちの命と将来に関わる医療費と教育現場の費用です。内閣府や厚生労働省が公表する統計資料を見ても、消費者物価指数の中で医療関連費用や大学授業料の上昇率は、家電製品や衣料品の下落トレンドとは対照的に、長期にわたり右肩上がりを続けています。
なぜ医療や教育のコストはこれほどまでに膨らみ続けるのでしょうか。現場の構造を紐解くと、ボーモルが警告したメカニズムが残酷なほど忠実に作用していることが分かります。
医療費高騰の理由:命を預かる「手当て」は倍速化できない
医療分野におけるボーモルのコスト病 医療費高騰の理由は明快です。高度な医療機器や新薬の開発など技術の進歩は著しいものの、問診、手術、術後管理、看護ケアといった医療行為の根本は「医師や看護師が患者と向き合う時間」に依存しています。
たとえば、1人の外科医が執刀する大手術の時間を半分に短縮したり、看護師1人が担当する重症患者の数を強引に3倍に増やしたりすれば、医療事故のリスクは跳ね上がります。医療従事者一人あたりの「処置件数」という形式的な労働生産性を強引に引き上げることは、医療の質の低下、ひいては人命の危機に直結します。一方で、極めて高い専門性を要する医師や医療スタッフには、他産業の上位層と遜色ない報酬を支払わなければ医療崩壊を招きます。その結果、人件費と高度化する医療技術の両輪が押し上げ圧力となり、医療費総額が際限なく膨張していくのです。
教育現場のジレンマ:きめ細やかな指導ほど生産性は「悪化」する
教育分野も全く同様の罠に陥っています。教育の質を向上させようとすれば、自ずと「少人数学級」や「1対1の個別指導」が志向されます。しかし、経済学的な計算式に当てはめると、教員1人が担当する生徒数を40人から20人に減らす試みは、労働生産性を意図的に50%引き下げる行為に他なりません。
オンライン講義の普及などデジタル化の恩恵はあるものの、生徒の理解度を把握し、質問に答え、人格的な成長を促すプロセスは、人間にしか担えません。教員の給与水準を世間相場に合わせながら質の高い教育を維持しようとすれば、生徒一人あたりにかかる人件費負担は増大するしかなく、私立大学の学費や学習塾・習い事の月謝が高騰し続ける直接の要因となっています。