虫の知らせとは?嫌な予感が当たる真相と第六感の科学的根拠を追う

虫の知らせとは?嫌な予感が当たる真相と第六感の科学的根拠を追うについて詳しく解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

なぜ日本人は、直感を「鳥の知らせ」や「風の知らせ」ではなく、あえて「虫」に託したのか。その語源を深掘りすると、古代中国から伝来した道教の「三尸(さんし)説」に行き着く。

道教の教えによると、人間の体内には生まれつき「上尸(じょうし)」「中尸(ちゅうし)」「下尸(げし)」という三匹の虫、すなわち三尸の虫が棲みついているとされる。この虫たちは宿主の欲望を刺激して寿命を縮めようとするだけでなく、60日に一度巡ってくる「庚申(かのえさる・こうしん)の日」の夜、宿主が寝静まった隙に体内から抜け出すと信じられていた。そして天帝(閻魔大王のような最高神)のもとへ昇り、その人間が犯した日頃の罪や悪事を告げ口し、寿命を削らせるというのだ。

この言い伝えから、平安時代以降の日本貴族の間では、庚申の夜に一睡もせず徹夜で語り明かす「庚申待(こうしんまち)」という風習が流行した。寝なければ体内の虫が外へ抜け出せないと考えたからだ。室町時代から江戸時代にかけては民衆の間にも広まり、全国各地に「庚申塔」が建てられるほどの巨大な民間信仰へと発展した。

こうした歴史的背景の中で、「体内に棲む虫が、人間には見えない天の動きや他者の秘密、未来の出来事を察知して蠢(うず)く」という観念が定着した。自らの意思とは無関係に沸き起こる不可解な予兆や胸のざわつきを、人々は「体内の三尸の虫が何らかの異変を感知して暴れ、宿主に知らせているのだ」と解釈した。これこそが「虫の知らせ」という慣用句の真の出自である。

山田 真由

山田 真由

自動車・モビリティライター

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