錐体路とは?錐体外路との決定的な違いと麻痺のメカニズムを徹底解説

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臨床において最も頻繁に遭遇する脳血管障害(脳梗塞・脳出血)において、「なぜ片側の脳の病変が反対側の手足の麻痺を引き起こすのか」という疑問の答えは、錐体路の厳密な走行ルートに存在する。

中心前回を発した神経線維は、放射冠を通過したのち、大脳基底核(視床とレンズ核)の間隙にある狭小な連絡路「内包後脚(ないほうこうきゃく)」に密集して進入する。この内包後脚は臨床上、極めて危険な要衝である。わずか小豆粒大(数ミリメートル)のラクナ梗塞が内包後脚に生じただけで、四肢へ向かう高密度の運動線維が一網打尽に遮断され、重篤な対側片麻痺を引き起こす。

延髄錐体交叉における神経線維の分岐

内包後脚を通過した錐体路は、中脳の大脳脚、橋底部を縦走し、延髄腹側の「錐体」へと到達する。そして延髄と脊髄の境界部において、神経線維は決定的な分岐を果たす。これこそが延髄錐体交叉(すいたいこうさ)である。

  • 外側皮質脊髄路(がいそくひしつせきずいろ):全体の約80〜90%の線維が正中線を越えて対側へ交叉する。脊髄の側索を下行し、目的の高さ(頸膨大や腰膨大)の脊髄前角細胞にシナプスを形成。主に手足の遠位筋(指先や足先など緻密な随意運動)の制御を担う。
  • 前皮質脊髄路(ぜんひしつせきずいろ):残りの約10〜20%は交叉せずに同側の脊髄前索を下行する。体幹部などの標的レベルに達した段階で、前白交連を通って対側(一部は同側)の前角細胞へ接続。主として体幹筋や近位筋の姿勢保持運動に関与する。

このように、四肢を細やかに動かす運動線維の大多数が延髄で左右反転するため、左大脳皮質や内包後脚の病変は「右半身麻痺」を、右大脳の病変は「左半身麻痺」を決定づけることとなる。

山田 真由

山田 真由

自動車・モビリティライター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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