『永遠の0』作者・百田尚樹の軌跡|放送作家から政界進出までの全真相
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本作の評価を決定的なものにしたのは、2013年12月に公開された映画『永遠の0』の社会現象でした。メガホンを取ったのは『ALWAYS 三丁目の夕日』やのちに『ゴジラ-1.0』で世界を席巻した山崎貴監督。そして、生きて還ることに異常なまでに執着した孤高のパイロット・宮部久蔵を熱演したのが岡田准一氏でした。
映画は公開から8週連続で週末興行ランキング第1位を獲得し、最終興行収入は87.6億円という邦画実写としては記録的な数字を叩き出しました。翌年の第38回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞をはじめとする主要8部門を独占。岡田准一氏が見せた極限の葛藤と静謐な演技は、文芸ファンのみならず普段劇場へ足を運ばない若年層の心をも強烈に揺さぶりました。
大手レビューサイトやSNSにおけるリアルな口コミ・反響を定性分析すると、評価は明確に二極化しています。読書メーターやAmazonレビューの大多数を占めるのは、感動と人間ドラマに対する絶賛の声です。
「祖父を調べる孫の視点という構成が巧みで、歴史に詳しくない自分でも引き込まれた」「特攻隊員一人ひとりに家族があり、愛する人がいたという当たり前の事実に気付かされ、嗚咽が止まらなかった」といった、命の重みと家族愛に焦点を当てた共感が圧倒的多数を占めます。
一方で、論壇や一部メディアからは「特攻という軍事行動の美化につながるのではないか」「物語の感動によって、当時の指導部が犯した戦争責任の追及が曖昧にされている」といった批判的言説も投げかけられました。しかし、こうした批判に対して百田氏自身は、当時の特番インタビューや自著・手記の中で次のように語り、真っ向から反論しています。
「作中を冷静に読んでもらえれば分かる通り、宮部久蔵は『何としても生きて還る』と主張し、当時の軍上層部や無謀な作戦指導を徹底的に批判している。特攻を美化するどころか、これほど明確に個人の尊厳を優先した反戦的なスタンスの作品は他にないはずだ」
現場の取材証言やテキストの構造を精緻に検証する限り、本作が描こうとしたのは国家イデオロギーの称揚ではなく、国家という巨大な狂気に押しつぶされそうになりながらも「愛する者を守るために生きたい」と願い続けた一個人の凄絶な生への執念でした。