サカナクション「スローモーション」歌詞の真相と山口一郎の葛藤
今注目を集めている サカナクション「スローモーション」歌詞の真相と山口一郎の葛藤について、多角的な視点を分かりやすく掲載しています。
「スローモーション」の歌詞に込められた真意を紐解く上で、2014年後半から2015年にかけて山口一郎が置かれていた極限の創作環境を無視することはできません。当時、バンドは映画『バクマン。』の音楽制作を一手に引き受け、劇伴30曲以上と主題歌の制作という膨大なタスクに追われていました。
音楽メディアの長期密着取材やNHKスペシャル等の特番で本人が赤裸々に語った通り、当時の山口は深刻なスランプの底にいました。歌詞が1行も書けない日々が数カ月単位で続き、締め切りは幾度となく破談。かつて患った右耳の突発性難聴の後遺症に加え、不規則な生活と猛烈なストレスから自律神経が失調し、原因不明の微熱や眩暈、激しい動悸に襲われる日々を過ごしていました。
表題曲「新宝島」が、バンドを国民的ポップアイコンへと押し上げるべく外へ外へと開かれた「光」のアンセムであるならば、同時に生み出された「スローモーション」は、深夜の作業部屋でひとり毛布にくるまり、軋む自らの肉体と向き合い続けた「影」の記録です。華々しいヒットチャートの裏側で、彼がどのような痛みに耐え、何を削りながら言葉を絞り出していたのか。その切実な制作秘話こそが、楽曲全体に横たわる張り詰めたテンションの源泉となっています。