インフルエンザに抗生物質は無意味?処方される本当の理由とリスクを徹底解説
インフルエンザに抗生物質は無意味?処方される本当の理由とリスクを徹底解説について専門的な視点から解説いたします。詳細な分析をご確認ください。
では、なぜ医師はインフルエンザ患者に抗生物質を出すことがあるのでしょうか。「ウイルスに無効」と知りながら現場でインフルエンザに抗生物質がなぜ出されるのか、その主たる引き金はインフルエンザ二次感染による肺炎のリスクです。
インフルエンザウイルスが気道に侵入すると、喉から気管支、肺にかけての粘膜上皮細胞が激しく破壊されます。通常であれば異物を外へ押し出す「線毛運動」が麻痺し、気道の防御機能が完全に崩壊した状態に陥るのです。この隙を狙って体内に侵入してくるのが、普段は鼻や喉の奥でおとなしく生息している常在菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など)です。
臨床現場において、一度は下がりかけた解熱後に再び38度以上の高熱が出たり、激しい咳や黄色・緑色の濁った痰が出現したりした場合、高確率で細菌による二次性肺炎が疑われます。国立感染症研究所などの過去の追跡調査でも、インフルエンザによる死亡例の多くはウイルスそのものではなく、こうした細菌の重複感染による重症肺炎が直接の死因であることが示されています。体力が著しく低下している高齢者や基礎疾患(COPDや心疾患)を抱えるハイリスク患者に対しては、この命に関わる合併症を食い止めるために抗生物質が投与されるのです。