そもそも「怒涛」とは?ヒット作を生む「怒涛の展開」の裏側と起源を徹底解説
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日本文学史において、「怒涛」という言葉を決定的に印象づけた金字塔が存在する。昭和を代表する劇作家・小説家である山本有三が手がけた戯曲『怒濤』だ。
本作は、近代日本の医学界で伝染病撲滅に生涯を捧げた北里柴三郎の苦闘を描いた重厚なヒューマンドラマである。旧弊な学閥政治や未知の病原体という巨大な障壁に立ち向かい、自らの信念を貫き通す主人公の姿は、まさに荒波を力強く突き進む一艘の船のようだ。山本有三は単なる歴史的事実のなぞり書きに終わらず、絶望の淵から立ち上がる間の心の葛藤を極限まで描き切った。
現在も日本近代文学館には、山本有三の推敲の跡が生々しく残る貴重な手稿が収蔵されている。推敲に推敲を重ねた言葉の重みは、時代を超えて現代人の胸を打つ。運命の濁流の中で己の志を貫く人間の尊厳を描き出した戯曲『怒濤』は、言葉の本質的価値を提示し続けているのだ。