和歌山・天神崎「日本のウユニ塩湖」奇跡の条件と失敗しない潮位完全ガイド
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天神崎を語る上で決して外してはならないのが、この場所が「日本における近代ナショナルトラスト運動のパイオニア」であるという歴史的事実です。
1970年代初頭、高度経済成長期の開発ブームの中で、天神崎の豊かな丘陵地帯に大規模な別荘地開発計画が持ち上がりました。海と森が密接に連環し、多種多様な海洋生物を育むこの自然が失われることに危機感を抱いた地元住民や学者らは、1974年に「天神崎の自然を大切にする会」を結成。市民からの募金によって土地を買い取り、開発から永久に保全する英国発祥のナショナルトラスト運動を日本で初めて大規模に展開しました。
当時、運動を主導した故・外山八郎氏(元高校教諭)をはじめとする先人たちの執念と、全国から寄せられた寄付金によって、現在も豊かな自然林と磯が一体となって保護されています。天神崎の磯には、干潮時になるとウミウシ、イソギンチャク、ハゼ、タコ、カニなど数百種に及ぶ生物が息づいており、学術的にも貴重な生態系の揺りかごです。
しかし近年の絶景ブームに伴い、夜間撮影での大声や騒音、プラスチックゴミの放置、立入制限区域への侵入といった観光公害(オーバーツーリズム)の弊害も一部で表面化しています。奇跡の水鏡の美しさは、地域住民が半世紀にわたって開発の波から死守し、清掃活動を継続してきた努力の賜物です。訪れる者は単なる写真映えスポットとして消費するのではなく、この類まれな自然遺産を敬うエシカルな姿勢が問われています。
なお、天神崎の自然を満喫した後は、車で10分ほどの田辺市街地(味光路周辺など)に立ち寄るのも一興です。紀伊水道の新鮮な海の幸を使った海鮮丼や、古い町家をリノベーションしたハイセンスなカフェが点在しており、地域の豊かな食文化にも触れることができます。