アバスク イチャス・エタ・メンディの真相とバスク美食文化の全貌
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バスク地方の美食文化において、「海と山」の共存は調理技法にも鮮やかに現れています。一般的なフランス料理のような濃厚なバターや生クリーム主体の重厚なソースとは異なり、オリーブオイル、ニンニク、赤ピーマン(ピエ・ド・コションやピキージョ)、トマト、そして塩干タラ(バカラオ)から滲み出る天然のゼラチン質を乳化させたソース(ピルピル)が基本骨格を成します。
代表的な伝統メニューを見ても、海の恵みであるイカを自らの墨と玉ねぎで煮込んだ料理や、山の恵みである生ハムとパプリカを合わせた煮込み料理「ピペラード」、さらに豚足や仔羊の内臓肉と魚介の出汁を巧みに融合させた皿など、素材の原初的な旨味をストレートに引き出す構成が際立ちます。
そして、この海と山の料理を味わう上で外せないのが、地元の微発泡白ワイン「チャコリ(Txakoli)」です。特にビスカヤ県ゲルニカ近郊に拠点を置くワイナリー「ボデガス・イツァスメンディ(Bodegas Itsasmendi)」は、その名の通り「海と山」の斜面に広がるブドウ畑から極上のチャコリを生み出しています。
かつてチャコリといえば、高い位置からグラスに注いで酸味を和らげて飲むカジュアルな居酒屋(バル)の酒というイメージが主流でした。しかし、イツァスメンディなどの革新的な生産者は、オンダラビ・スリ種をはじめとする自生品種のポテンシャルを極限まで引き出し、澱とともに熟成させた長期熟成型の重厚なチャコリを確立。ミネラル感と清々しい柑橘の酸味、そして奥深いコクが、バスクの魚介や豚肉料理と完璧な調和を奏でます。