利他の心とは何か?自己犠牲との違いと稲盛経営が証明した真価を解く

利他の心とは何か?自己犠牲との違いと稲盛経営が証明した真価を解くについて知っておくべき 理由を分かりやすく解説いたします。

「利他(りた)」という概念を辞書的に解釈すれば「他人の利益を重んじ、他人のために尽くすこと」となります。しかし、この言葉の根底にある思想的厚みを知るには、大乗仏教の教えに立ち返る必要があります。

仏教における根幹概念の一つが「自利利他(じりりた)」です。自利とは自己の修行によって悟りを得る(徳を積む)ことであり、利他とは他者を救済することを指します。重要なのは、この2つが対立関係ではなく「自利利他円満」、すなわち他者を幸せに導く行いそのものが自らの悟りや幸福につながり、自他の幸福は分かち難く結びついていると説く点です。

日本仏教に目を向けると、比叡山延暦寺を開いた天台宗の宗祖・伝教大師最澄が著した『山家学生式(さんけがくしょうしき)』の一節に、名高い「忘己利他(もうこりた)」の教えが記されています。

「悪事を己に向かえ、好事を他人に与え、己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり」

一見すると極端な滅私奉公や過酷な我慢を強いる言葉に思われがちですが、仏教研究者や僧侶の解説によれば、ここでの「己を忘れる」とは自らを痛めつけることではありません。執着やエゴ(私心)を手放し、他者と自己を隔てる壁をなくす境地を指しています。他者の苦しみを我が事として受け止め、手を差し伸べる行為が巡り巡って己の魂を浄化するという、壮大な循環思想がそこに息づいています。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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