「死に方 苦しくない」最期は作れるか?現代緩和ケアが変える医療
「死に方 苦しくない」最期は作れるか?現代緩和ケアが変える医療について知っておくべき 事実を分かりやすく解説いたします。
だが、痛みを抑えるだけで人は真に「安らか」になれるのだろうか。医療現場が向き合うべき苦痛は、肉体的なものにとどまらない。
世界保健機関(WHO)は、終末期患者が直面する苦痛を「全人的痛み(Total Pain)」と定義している。これは身体的苦痛に加え、不安やうつなどの「精神的苦痛」、経済や家族問題に基づく「社会的苦痛」、そして「自分はなぜ生きているのか」という根本的な問いに悩む「スピリチュアルな苦痛」の4要素で構成される。
精神医学者エリザベス・キューブラー=ロスが名著『死ぬ瞬間』で提示した「否認・怒り・取引・抑うつ・受容」という死の受容過程は、現代でも患者の心理を理解する重要な道標だ。死への恐怖や孤独感という精神的苦痛は、時に身体の痛みを増幅させる。そのため、医師だけでなく、看護師、医療相談員、臨床心理士、宗教者らが連携し、心と体の双方からアプローチする多職種ケアが欠かせない。