日本の防空識別圏(Jadiz)と領空の違いは?緊迫スクランブルの真相
日本の防空識別圏(Jadiz)と領空の違いは?緊迫スクランブルの真相について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をお届けします。
安全保障関連のニュースを読み解く上で、最も基本的かつ混同しやすいのが「領空」と「防空識別圏」の決定的な違いです。
英語でADIZ(Air Defense Identification Zone)と呼ばれる防空識別圏、日本においてはJADIZ(Japan Air Defense Identification Zone)と称されるエリアは、国家の主権が及ぶ「領空」そのものではありません。領空とは、領土および領海(基線から12海里=約22km)の直上空域を指し、国際法上、他国の航空機が無許可で進入することは完全な違法行為(領空侵犯)にあたります。
一方で、現代の超音速ジェット戦闘機はマッハ1(時速約1,200km)以上の猛スピードで飛行します。仮に領空の境界線に到達してからレーダーで捕捉・対処を始めていては、わずか数十秒から数分で国土中枢への侵入を許してしまいます。そこで、公海上空にあらかじめ広大な警戒ラインを設定し、領空に接近する航空機の国籍や飛行目的を事前に「識別」するために設けられたのが防空識別圏です。
防空識別圏そのものには明確な国際条約の明文規定が存在しません。各国の国家主権に基づく自衛権および国防上の措置として独自に設定・運用されており、慣習国際法上の防衛的措置として位置づけられています。公海上空における「飛行の自由」を侵さない範囲で、近づく不審機を早期に捉えるための防衛ラインです。