インボイス制度で誰が得する?実質増税の真相とウラで儲かる「勝ち組」の正体

インボイス制度で誰が得する?実質増税の真相とウラで儲かる「勝ち組」の正体に関する質問を徹底的にまとめました。詳細な解説をチェックしましょう。

インボイス制度という極めて複雑な税制改変において、誰が明確な利益を享受したのか。結論から言えば、直接的な利得を手にしたのは「財務省(国家財政)」と「システム開発・クラウド会計ベンダー」の2者のみと言っても過言ではありません。

第一の勝者である財務省の狙いは、極めて明快です。それは「実質増税の完遂」と「将来の消費税率引き上げに向けたインフラ整備」に他なりません。政府が公表した試算においても、インボイス制度の導入に伴う税収増は年間約2,480億円にのぼると試算されていました。課税売上1,000万円以下の零細事業者から消費税を吸い上げ、あるいは取引先の大企業に控除不可分の税負担を肩代わりさせることで、国は法改正による直接的な税率引き上げを宣言することなく、巨額の財源を手に入れたのです。

さらに第二の勝者として見逃せないのが、システム開発会社をはじめとするIT業界です。電子帳簿保存法の改正と重なったことも追い風となり、日本中の全法人が請求書発行システム、受領SaaS、会計パッケージの改修やリプレイスを余儀なくされました。矢野経済研究所などの調査でも示されている通り、企業のERP刷新や電帳法・インボイス対応クラウドサービスの市場規模は急拡大を記録しました。民間企業の血税ともいえる事務改修予算が、大手SIerや会計ソフト大手の売上へと姿を変えた構図です。

一方で、世間一般で言われた「大企業が得をする」という言説は、現場の実態を反映していません。確かに買い手側としてインボイスを取得すれば、仕入税額控除を確実に維持できるという制度上のメリットはあります。しかし、その対価として支払ったシステム投資費用、非適格請求書が混在することによる経理部門の残業代、下請事業者との価格交渉にかかる法務・購買部門の人的コストは甚大であり、トータルで見れば純粋な勝者とは呼び難いのが現実です。

清水 千尋

清水 千尋

フード&トラベルライター

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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