プエブロレザー財布の劇的エイジングと罠|後悔を防ぐ手入れの真相

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プエブロレザーを手にした人が最初に驚くのは、一般的なイタリアンレザーの上品な光沢とは正反対の、まるで上質な和紙ややすりのようなざらついた手触りです。この唯一無二のテクスチャーを生み出しているのが、イタリア・トスカーナ州フィレンツェで1967年に創業した名門タンナー「バダラッシカルロ社」です。革製品ブランド「com-ono」などの公式製造資料にも詳述されている通り、同社は失われかけていたトスカーナ地方の伝統技法であるイタリアンバケッタ製法を現代に蘇らせたパイオニアとして知られています。

バケッタ製法最大の特徴は、植物性タンニンで時間をかけて丁寧になめした牛革へ、精製した牛脚油(うしあしあぶら)をじっくりと時間をかけて芯まで浸透させる点にあります。近代的な薬品や合成油と異なり、牛脚油は非常にゆっくりと浸透するため生産効率は極めて低いものの、一度繊維の奥深くまで染み込んだ油分はほとんど抜け出ることがありません。

そして、この潤沢にオイルを含んだベースレザー(ミネルバボックスと同等の原皮)の銀面(表面)に対し、熟練の職人が真鍮製ブラシを用いてランダムに細かな円を描くように擦り傷をつけて起毛させたものがプエブロレザーです。新品時に見られる白っぽいマットな質感は、人工的に毛羽立たされた微細な革の繊維が光を乱反射しているために生じる光学現象に過ぎません。

使い込むにつれて日常の摩擦で毛羽立ちが寝かしつけられ、同時に革の芯に蓄えられていた膨大な天然オイルが体温に温められて表面へとじんわり浮き上がってきます。この「起毛の平滑化」と「内部からのオイルコーティング」という物理的・化学的プロセスが同時に進行することで、わずか半年から1年という短期間で、別物のような濡れたような透明感と深みのある飴色への劇的なトランスフォーメーションが完成するのです。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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