雪女と蟹を食う結末の真相|原作とドラマの違いや隠された真意を解剖
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物語の起点となるのは、痴漢の冤罪によって職も婚約者も失い、社会から完全に孤立した青年・北(本名:小日向真人)の絶望です。所持金も底をつき、首を吊って命を絶とうとするものの、死への恐怖から最後の一歩を踏み出せずにいました。そんなとき、ふと目にしたテレビのグルメ番組に映る蟹の姿に心を奪われ、「どうせ死ぬなら、本場の北海道で蟹を腹一杯食べてから死のう」という衝動に駆られます。
旅費を強奪するため、高級住宅街に佇む洋館へ押し入った北が出会ったのが、著名な小説家の妻である雪枝彩女(ゆきえあやめ)でした。強盗として刃物を突きつける北に対し、彩女は叫び声を上げることも取り乱すこともなく、静かに金銭を差し出し、さらには自ら身体を重ねるという常軌を逸した行動に出ます。そして恐怖するどころか、「北海道まで、私も連れて行ってくれませんか」と持ちかけるのでした。
こうして始まった奇妙な二人旅路。強盗犯と人質という歪な関係でありながら、日光、会津若松、山形、青森と北上するにつれて、二人の心は複雑に絡み合っていきます。彩女が抱えていたのは、夫・一騎の度重なる不貞と、人形のように扱われる生活の中で完全に摩耗してしまった魂でした。北にとっては「死ぬ前の贅沢」であった北海道行きは、彩女にとってもまた「人生を終わらせるための完璧な終着駅」だったのです。