庵野秀明と宮崎駿の現在|不仲説の真相と40年続く異形の師弟愛

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アニメファンの間で長年取り沙汰されてきたのが、庵野秀明と宮崎駿の不仲説や確執の噂です。インターネット上の掲示板やSNSでは「絶縁状態にあるのではないか」「互いの作品を毛嫌いしている」といったセンセーショナルな言説が定期的に拡散されてきました。しかし、関係者の証言や当時の対談記録を精査すると、そこにあったのは単なる感情的な対立ではなく、表現者としての誇りを懸けた熾烈な鍔迫り合いでした。

衝突の火花が最も激しく散ったのは、1990年代後半です。『新世紀エヴァンゲリオン』で社会現象を巻き起こした庵野氏に対し、宮崎監督はメディアを通じて「庵野は正直に自分の無傷な部分、傷口をさらけ出して映画を作っている」「あいつはオタクだから」と手厳しい評価を下しました。一方の庵野氏も、1997年夏の『もののけ姫』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の同日激突を前に、「作品の中身では勝ちにいく」と公言して憚りませんでした。

この時期の言動を切り取れば、確かに険悪な関係に見えます。しかし、宮崎監督は『エヴァンゲリオン』のヒットによって精神的に追い詰められ、崩壊寸前だった庵野氏をプライベートで山歩きに連れ出し、こう声をかけて救い出しています。「休みなさい。何かが作れるようになるまで、じっとしていればいい」。突き放すような辛辣な批評の裏には、同じ表現の地獄を味わった者同士にしか共有できない、不器用で深い慈愛が存在していました。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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