ドラクエ作曲者すぎやま氏の遺産と12の後任問題|神曲秘話と現在

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2021年9月30日、すぎやまこういち氏が敗血症性ショックのため90歳で逝去された際、スクウェア・エニックスは公式声明とともに、全世界のファンへ大きなメッセージを発信しました。当時すでに発表されていた最新作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』の楽曲について、すぎやま氏が生前に作曲作業を進めていたという事実です。

スクウェア・エニックス関係者の動向や報道発表によると、すぎやま氏は『ドラクエ12』のメインテーマをはじめとする中核的な新規楽曲のスコアを遺しており、本作は名実ともに「すぎやまこういち氏の遺作」となります。

では、膨大なシーンを彩る追加BGMや今後のシリーズ作品における「後任・後継者は誰になるのか」という点について、業界内では以下の3つの柱からなる引き継ぎ体制が定着しています。

  • ① 長年すぎやまサウンドを支えた実力派オーケストレーターの登用: すぎやま氏の交響組曲や派生作品の編曲を数多く手掛けてきた松尾早人氏や成田勤氏をはじめとする、すぎやま音楽の語法を熟知した編曲家・オーケストレーター陣が楽曲の仕上げや追加スコアを担当する体制です。
  • ② スクウェア・エニックス・サウンドチームによる伝統の継承: スクウェア・エニックス社内のコンポーザー陣が、過去11作にわたる膨大なすぎやまフレーズ・動機(モチーフ)を再構築・再配置し、世界観の統一を図る手法です。近年の外伝作品やリメイク版(HD-2D版『ドラクエ3』など)でもこの連携が極めて高い完成度を見せています。
  • ③ 単一の後継者を立てず「すぎやまモチーフ」を共有財産とする方針: 特定の1名を「2代目すぎやまこういち」として大々的に据えるのではなく、すぎやま氏が築き上げた音楽的文法(ロトの動機、ファンファーレ、教会・宿屋のジングル)をシリーズ不変のコアとして守り続ける方針が採られています。

ドラクエの楽曲制作は、「誰か一人がガラリと雰囲気を変える」のではなく、「偉大な原曲のDNAを損なわずに次世代のゲームプレイに適合させる」という、極めて敬意に満ちた形で継承が進められています。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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