競走馬は引退後どこへ消えるのか?食肉転用の実態と知られざる真実
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ここで、一般消費者の間で広く信じられている致命的な誤解を解かなければなりません。それが「居酒屋や通販で食べる国産高級馬刺しは、すべて元競走馬のサラブレッドである」という俗説です。
実態は全く異なります。日本の馬肉市場において、最高級品とされる霜降り馬刺しの大部分を占めているのはサラブレッドではなく、「重種馬(じゅうしゅば)」と呼ばれる巨大な農用馬の系統です。
- 重種馬(ペルシュロン種、ブルトン種、ベルジアン種など):体重はサラブレッドの約2倍にあたる800キロ〜1トン超。体格が極めて大きく、遺伝的に筋肉の間にきめ細やかなサシ(脂肪)が入りやすい。熊本県などで肥育される最高ランクの霜降り馬刺しは、主にカナダやフランスから生体輸入された重種馬や、ばんえい競馬にルーツを持つ馬が担っています。
- 軽種馬(サラブレッド):体重は450〜500キロ前後。運動量が豊富なため全身が赤身肉で構成されており、脂肪分が極端に少ない特徴を持ちます。
したがって、熊本馬刺しサラブレッドの流通は確かに存在するものの、その肉質は主に「完全な赤身肉」として提供されます。また、細切れ肉やミンチ肉、ソーセージなどの加熱用加工食品、さらには高タンパク・低脂質な特徴を活かした高級ペットフードの原材料として活用されるケースが過半を占めています。「高級霜降り馬刺し=競走馬の成れの果て」という言説は、畜産の実態を著しく単純化した誤解と言えます。