ラムとマトンの決定的な違いとは?月齢基準・臭みの理由・栄養を徹底比較
ラムとマトンの決定的な違いとは?月齢基準・臭みの理由・栄養を徹底比較について知っておくべき ポイントを厳選して解説いたします。
羊肉における最大の違いは羊の年齢(月齢)にあります。日本市場のみならず、二大生産国であるオーストラリアやニュージーランドの公的規格(AUS-MEAT規格など)において、その区分は極めて厳格に運用されています。
一般的に、ラム肉とは生後1年未満の仔羊を指します。骨格や筋肉がまだ未発達で筋繊維が細く、水分量が多いため、肉質は非常に柔らかいのが特徴です。その中でも生後2〜3ヶ月以内で母乳のみを飲んで育った仔羊は「ミルクラム(アニョー・ド・レ)」と呼ばれ、ほんのりミルクの甘香が漂う最高級食材として、初夏にかけてごくわずかな期間だけ高級フレンチなどに流通します。
一方で、マトン肉は生後2年以上の成羊を指します。成羊になると草を食む期間が長くなり、筋肉組織が発達して歯ごたえが増すとともに、赤身肉の旨味成分であるイノシン酸などのアミノ酸濃度が飛躍的に高まります。
見落とされがちなのが、両者の中間に存在する生後1年以上2年未満の羊肉「ホゲット(Hogget)」です。仔羊の柔らかさと成羊の力強い旨味を併せ持つ「羊肉の完成形」とも称されますが、飼育期間と出荷効率の兼ね合いから市場に出回る数が極めて少なく、羊肉マニアや一部の名店のみで珍重される幻の存在となっています。
この月齢差を客観的に見分ける現場の基準が、永久門歯(前歯)の本数です。羊の歯は生後1年前後から乳歯から永久歯へと生え変わります。下顎の永久門歯が「0本」であればラム、「1〜2本」確認されればホゲット、「3本以上(海外規格によっては2本以上)」生え揃っていればマトンと厳密に判定されます。誕生日を記録しきれない広大な放牧環境において、歯の観察こそが最も偽りのない品質証明となるのです。