かつおのたたきの旬は年2回!初鰹と戻り鰹の真実と高知流の極意
かつおのたたきの旬は年2回!初鰹と戻り鰹の真実と高知流の極意にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。
太平洋を大回遊するカツオは、黒潮に乗って北上する春と、親潮とぶつかり餌を飽食して南下する秋とで、まるで別の魚であるかのように肉質が一変します。日本近海における水揚げの推移を整理したカツオの旬月別カレンダーを頭に入れておくと、今口にしている一皿がどのような航海を経て食卓へ届いたのかが鮮明に見えてきます。
3月頃に鹿児島県や宮崎県などの九州南部で水揚げが始まり、黒潮に乗って高知、御前崎、勝浦へと北上する3月中旬から5月が初鰹の旬と特徴を最も堪能できる時期です。この時期のカツオは運動量が多く、餌を追って猛スピードで泳ぎ続けているため、身が引き締まり、脂分は極めて控えめ。透明感のある鮮やかなルビー色の赤身と、清涼感のある爽やかな酸味が際立ちます。
一方、東北・三陸沖で豊富なイワシなどをたっぷり食べて丸々と肥え太り、水温の低下とともに反転南下してくる8月下旬から10月下旬が戻り鰹のハイシーズンです。別名「トロガツオ」「脂鰹」と呼ばれる通り、身全体に細かいサシが入り、ねっとりとした舌触りと濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。さらに近年、高知県中土佐町久礼の大正町市場・山本鮮魚店などの地元目利きが「第3の旬」として発信しているのが、冬の日本海で稀に水揚げされる迷いガツオです。水温が極端に低い海域へ迷い込んだ個体であり、戻り鰹をも凌ぐ驚異的な脂乗りと希少性から幻の魚として食通の熱い視線を集めています。
文部科学省の日本食品標準成分表などのデータからも明らかなように、初鰹と戻り鰹の違いにおける最大のファクターは脂質量です。秋の戻り鰹は春の初鰹に比べて脂質が最大で10倍近くまで跳ね上がります。この劇的な身質の変化を理解することこそが、かつおのたたきを真に楽しむための第一歩となります。