モズの早贄はなぜ串刺しにする?残酷な習性の真相と求愛の秘密
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道端の木の枝を観察していると、串刺しにされたカエルやトカゲが食べられることなく、黒く干からびたミイラ状態で春先まで放置されている姿を見かけます。これを見て「モズは早贄を隠した場所を忘れてしまう鳥なのではないか」という疑問を抱く人も少なくありません。
モズが早贄を忘れる理由として、かつては「記憶力が悪く、刺したこと自体を忘れてしまう」という俗説がまことしやかに語られていました。しかし、近年の観察実験によってモズは自身が作った早贄の位置をかなり正確に記憶していることが分かっています。
では、なぜ放置される個体が存在するのか。理由は大きく分けて以下の2点です。
ひとつは、冬の気温や獲物の供給量が安定しており、早贄に頼る必要がなかったケースです。冬の寒さが緩やかで生きた獲物が十分に捕獲できた場合、モズは鮮度の落ちた保存食よりも新鮮な生餌を優先して捕食します。
もうひとつは、求愛行動が成功したあとの優先順位の変化です。目当てのメスを獲得し、つがいとなって春を迎えると、モズの縄張り意識や行動パターンは「自活」から「巣作り・子育て」へと移行します。干からびた早贄はすでに用済みとなり、わざわざ回収されずに残されるというわけです。決して間抜けで忘れているわけではなく、生物としての合理的な判断が働いた結果といえます。