そろりそろりの意味と元ネタを徹底解剖!狂言では言わない噂の真相

そろりそろりの意味と元ネタを徹底解剖!狂言では言わない噂の真相の全貌を分かりやすくまとめてご紹介します。

ここで浮上するのが、ネット上や一部の古典ファンから投げかけられる「実際の狂言の舞台では、あんな風に『そろりそろり』とは言わない」という指摘です。この噂の真偽を確かめるため、狂言の代表的な古典演目『附子(ぶす)』の台本と演出を精査しました。

結論から述べると、「狂言の本編で言わない」という言説は半分正しく、半分は誤りです。狂言のセリフとして「そろりそろり」は確実に実在します。

もっとも有名な例が、中学校の国語教科書にも掲載されている古典狂言の名作『附子』です。主人が留守番を命じた太郎冠者と次郎冠者に対し、「砂糖」を独り占めするために「あれは附子という猛毒だから近寄るな」と嘘をつきます。しかし主人が出かけた後、どうしても中身が気になった太郎冠者が、恐る恐る毒の壺へ近づいていく場面があります。

この名場面で、大蔵流や和泉流の伝書・謡本には次のようなセリフが記されています。

「そろりそろりと参らう。そろり、そろり、そろり……」

太郎冠者が扇子を構え、いつ毒風が吹いてくるか分からない恐怖に怯えながら、摺り足で一歩ずつ忍び寄る緊迫した心理描写を、この言葉で見事に表現しているのです。

では、なぜ「狂言では言わない」という噂が広がったのでしょうか。理由は主に2点あります。

  • 連呼する演目が極めて限定的である点:何百とある狂言の演目の中で、「そろりそろり」と声に出して歩く場面はごく一部であり、どの演目でも頻繁に使われる定番の決まり文句ではありません。
  • 長田のモノマネが持つ強烈な記号化:モノマネでは「登場人物が移動するたびに必ず口走るフレーズ」のように誇張されていたため、実際の舞台を観劇した人が「普段の狂言師は歩く時にいちいち言わない」とギャップを覚えたことが原因です。

つまり、狂言の世界に確実に存在する由緒あるセリフを、チョコプラ長田が卓越したセンスで切り取り、キャッチーなアイコンへと昇華させたというのが事実に即した真相です。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest