しきび(樒)とは?榊との違い・仏事に供える理由と猛毒の真相を解説
しきび(樒)とは?榊との違い・仏事に供える理由と猛毒の真相を解説の背景について、専門知識を基に徹底解説します。
しきびはマツブサ科シキミ属に属する常緑小高木で、学名を「Illicium religiosum」と呼びます。種小名の「religiosum(宗教的な)」が示す通り、古くから東アジアの宗教儀礼と不可分な結びつきを持ってきた植物です。
呼称に関して疑問を抱く人も多いですが、しきみとしきびの違いは地域的な方言・音便の差異に過ぎません。植物学上の標準和名は「シキミ(樒)」ですが、近畿地方をはじめとする西日本では「しきび」と濁音で発音されるのが通例です。このしきびの関西での呼び名は、平安時代以降の中央文化圏で「重なり合って実がなる(重実=しげみ)」や「四季を通して美しい(四季美=しきび)」が転訛したものと語源学的に推察されています。
店頭で一般消費者が最も混同しやすいのが、樒と榊の違いです。両者は用途から外見的特徴に至るまで、全くの別物として明確に区分されます。
最大の違いは「神仏の住み分け」と「葉の形状・匂い」にあります。榊(ツバキ科)が神道において神の依り代として神棚に捧げられるのに対し、樒は一貫して仏教の儀式や仏壇・墓所に用いられます。見分け方の決定打となるのが葉の縁と香りです。榊の葉はフチがつるりとした滑らかな全縁であるのに対し、樒の葉は波打つようなうねりが見られ、枝や葉を折ると特有のスパイシーで強い抹香(お香)の香気を放ちます。この芳香こそが、仏事で重宝されてきた最大のアイデンティティです。
なお、樒の花言葉と由来には「援助」「芳香」「甘い誘惑」といった言葉が与えられています。早春に淡い黄白色の可憐な花を咲かせる美しさと、人を死に至らしめるほどの毒性を併せ持つ二面性が、西洋・東洋双方の花言葉体系において独特の陰影を与えています。