首の激痛と手足の痺れは麻痺の前兆?環軸椎亜脱臼の真実と最新手術基準
首の激痛と手足の痺れは麻痺の前兆?環軸椎亜脱臼の真実と最新手術基準について押さえておきたい 理由を分かりやすい構成で解説いたします。
環軸椎亜脱臼は突発的に生じる外傷だけでなく、全身性の基礎疾患によって引き起こされるケースが大部分を占めます。代表格が関節リウマチです。リウマチでは滑膜炎が全身の関節を破壊しますが、第1・第2頚椎間にある滑液包にも激しい炎症性増殖(パンヌス)が生じます。このパンヌスが環椎横靭帯を融解・弛緩させ、さらには歯突起そのものを骨びらんによって脆弱化させることで、徐々に脱臼が完成していきます。生物学的製剤やJAK阻害薬の普及によりリウマチの関節破壊抑制は劇的に進歩したものの、罹患歴が10年〜15年以上に及ぶ長期療養者では、潜在的に上位頚椎の不安定性を抱えている割合が依然として注視されています。
もうひとつの重要な要因がダウン症候群(21トリソミー)に伴う病態です。ダウン症候群の患者は先天的に全身の結合組織が柔らかく、靭帯の弛緩性が強い特徴があります。さらに歯突起の形成不全(低形成や分離歯突起)を合併する頻度が高く、統計的におよそ10〜20%に環軸椎の不安定性がみられると報告されています。学校体育でのマット運動や水泳の飛び込み、あるいは不意の転倒や追突事故などの外力が加わった際、突発的に完全脱臼や急性脊髄損傷を招くリスクが潜んでおり、小児期からの定期的な頚椎スクリーニングが強く推奨されています。