ピーターパン原作はなぜ怖いのか?子供の間引きと残酷な結末の真相
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原作小説が読者に残す最大の心理的ダメージは、冒険の後に待ち受ける最終章「大人になったウェンディ(When Wendy Grew Up)」に凝縮されています。
ネバーランドからロンドンの自宅へと生還を果たしたウェンディ、ジョン、マイケル、そしてロストボーイたち。彼らは現実を受け入れ、大人への階段を登ることを選びます。ロストボーイたちはダーリング家の養子となり、学校へ通い、やがて就職して家庭を築いていきます。大人になるにつれ、彼らは空を飛ぶ能力を失っていきました。「飛べる理由を疑ってしまったから」です。
一方、ただ一人「大人の世界」を拒絶したピーターは、ネバーランドへと帰還します。彼は「春の大掃除の季節になったら、ウェンディを迎えに来る」と約束を交わしました。しかし、ピーターの時間感覚は狂気そのものでした。1年後、彼は約束通り迎えに来ましたが、2年目には姿を見せず、数年後にふらりと現れたときにはウェンディの弟たちの顔すら忘れていました。さらに、かつて自分を救うために毒を飲んだティンカー・ベルについて尋ねられたピーターは、平然と言い放ちます。
「妖精はたくさんいるからね。彼女はもう死んだんじゃないかな。僕には思い出せないよ」
そして長い年月が流れ、ウェンディは結婚し、娘のジェーンを出産します。ある春の夜、窓を開けたまま眠るウェンディの部屋に、あの頃と寸分違わぬ姿をしたピーター・パンが舞い降ります。
部屋の明かりを灯したピーターが見たのは、大人の女性になり、母となったウェンディの姿でした。ピーターは裏切られたかのように床にへたり込み、子供のように泣き叫びます。「どうして大きくなってしまったんだ!」と激怒するピーターに対し、ウェンディは悲痛な思いで告げます。「私はもう大人なのよ、ピーター。あなたの母親にはなれないの」。
しかし、物語はここで終わりません。ベッドから目を覚ました幼い娘ジェーンがピーターを見つめ、無邪気に笑いかけます。ピーターの涙は一瞬で乾き、ウェンディを完全に視界から締め出すと、今度はジェーンの手を取って夜空へと飛び去っていくのです。ウェンディは窓辺から、かつて自分が飛び立った夜空を見送るしかありませんでした。
小説は、ジェーンが大人になればその娘のマーガレットが、そしてマーガレットが大人になればそのまた娘がネバーランドへ連れ去られるという、永遠に終わらない略奪のサイクルを示唆して幕を閉じます。逃れられない輪廻を描いたこの結末こそ、原作最大のホラーと言えます。