モズの早贄はなぜ串刺しに?残酷な習性の科学的真相と観察の要点
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モズ(百舌鳥)はタカやハヤブサと同じく鋭く鉤状に曲がったクチバシを持ち、小型の脊椎動物をも仕留める「小さな猛禽類」です。それにもかかわらず、本物の猛禽類とは決定的に異なる身体的ハンディキャップを抱えています。それは獲物をがっちり押さえつける強靭な足の握力を持たないという点です。
捕らえたカエルやトカゲ、大型のバッタなどをその場で引きちぎって食べるには、獲物をどこかに固定しなければなりません。そこでモズは、植物のトゲや尖った小枝、人工の有刺鉄線に獲物を突き刺すことで「万力(まんりき)」の代用とし、効率よく肉を引き裂く手法を進化させました。これが早贄を行う第1の物理的理由です。
早贄の意義は単なる食事の補助にとどまりません。日本の研究チーム(大阪市立大学・現大阪公立大学の研究者ら)による画期的な野外実験によって、「早贄を食べたオスは繁殖期の歌の質が劇的に向上し、メスにモテる」という衝撃的な事実が科学的に証明されました。
秋に作った早贄を厳冬期にしっかり消費したオスは、栄養状態が極めて良好に保たれます。その結果、1月〜2月の繁殖期に披露する求愛歌のテンポが速くなり、複雑で魅力的な歌声を長く響かせることが可能になります。調査データによると、早贄を消費して歌のテンポが上がったオスは、そうでないオスに比べて圧倒的に早い時期にパートナーを獲得できることが確認されています。