注射の激痛は消せる?専門医が明かす科学的裏技と最新医療技術
注射の激痛は消せる?専門医が明かす科学的裏技と最新医療技術についての最新情報を徹底解説します。
なぜ注射の針は痛むのか。その鍵を握るのが、神経科学において広く知られる「ゲートコントロール説」だ。人間の脊髄後角には、痛みの信号が脳へ伝わるのを制御するいわば「改札口」が存在する。触覚や圧覚を伝える太い神経線維(Aβ線維)が先に刺激されると、ゲートが閉まり、針がもたらす痛覚線維(Aδ線維・C線維)の信号が脳へ届きにくくなる。
臨床の現場で看護師が注射直前に刺入部の周囲をトントンと軽く叩いたり、皮膚を少し強めに圧迫したりするのは、このゲートを意図的に閉ざすための合理的なアプローチだ。患者側でも、打たれる腕とは別の部位(例えば反対側の太ももや手のひら)を強く握りしめたり、爪を立てない程度につねったりすることで痛覚の分散が期待できる。意識を別の皮膚刺激へと逃がす行為は、立派な自己防衛の技術なのだ。