二代目中村又五郎の写真と名舞台|人間国宝の軌跡と素顔

二代目中村又五郎の写真と名舞台|人間国宝の軌跡と素顔にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

二代目中村又五郎を語る上で欠かせないのが、国立劇場歌舞伎俳優研修所での指導者としての顔です。昭和40年代から平成にかけて、家柄に関係なく一般公募から歌舞伎界を目指す若者たちを、手取り足取り徹底的に指導しました。

当時の受講生たちの手記や特番インタビューによると、稽古場での又五郎は厳格そのものでした。扇子の角度ひとつ、目線の配り方ひとつで一切の妥協を許さず、「なぜその役がその動きをするのか」を理路整然と教え込みました。その一方で、稽古を離れれば弟子たちを温かく包み込み、経済的・精神的に苦しい若手を親身に支えたといいます。現在、歌舞伎界の各家で幹部・中堅として不可欠な役割を果たす名題・名題下の役者の多くが、又五郎の薫陶を受けた「又五郎チルドレン」です。

2009年に94歳で逝去された際、歌舞伎座で行われた追悼行事や関係者の言葉には、単なる名優の死を悼むだけでなく、「歌舞伎の精神的な支柱を失った」という深い喪失感が滲んでいました。舞台写真に焼き付いた引き締まった表情の奥には、伝統を次代へ繋ぐという並々ならぬ使命感があったのです。

【プロの結論】歌舞伎史から学ぶ「本物の芸」の見極め方

二代目中村又五郎の生涯と残された写真から私たちが学ぶべき最大の教訓は、「派手な主役(表舞台)だけでなく、それを成立させる構造(土台)にこそ本質が宿る」という真理です。

古典芸能や伝統文化を鑑賞する際、初心者ほど派手な主役の立ち回りに目を奪われがちです。しかし、芝居に深みと説得力を与えるのは、二代目又五郎のような名脇役が醸し出す「間」や「佇まい」です。写真資料を鑑賞する際も、衣裳の華やかさだけでなく、指先の脱力、首の角度、眼の据え方に着目することで、歌舞伎という身体芸術が到達した究極の機能美を読み解くことができます。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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