独裁者が生んだ孤児院の悲劇・歴史の闇に葬られた命の真実と叫び
独裁者が生んだ孤児院の悲劇・歴史の闇に葬られた命の真実と叫びの全体像を詳しく解説してご紹介します。
独裁者の失脚と処刑によって自由を手に入れたはずのルーマニア社会において、施設出身者たちは二重の差別に苦しんできた。戸籍すら正確に登録されていなかった数千人の若者たちは、十分な初等教育を受けられないまま社会へ放り出され、雇用市場から完全に排除された。
首都ブカレストのノルド駅地下に張り巡らされた暖房パイプのトンネルには、巨大な地下コミュニティが形成された。そこは孤児院を生き延びた者たちの最後の避難所であり、同時に薬物中毒とHIV、結核の温床でもあった。チャウシェスク政権下で行われていた「体力増進」を名目とした非加熱血液の無差別輸血によって感染爆発を起こした小児エイズの生存者たちも、そこに身を潜めていた。
2007年のルーマニアのEU加盟以降、生存者の一部は仕事を求めて西欧諸国へと移住したが、言語の壁と社会的スキルの欠如から、大都市の路上で物乞いやホームレス生活を余儀なくされるケースが後を絶たない。国家の誇大妄想によって産み落とされ、使い捨てられた彼らの存在は、今や欧州全体が直面する根深い社会課題となっている。