台湾ノスタルジーの終焉と再生、老街を巡る現地独占取材の全真相
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かつて鉱山の閉山とともに衰退の一途をたどっていた山あいの集落を、世界のカルチャーマップへと押し上げたのは映画産業の力だった。1989年、巨匠・侯孝賢監督が放った『悲情城市』は、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得。激動の台湾現代史の舞台となった九份の陰影ある景観は、世界中の映画ファンの脳裏に深く刻み込まれた。歴史の傷跡を抱えた静謐な佇まいこそが、この街の本来のアイデンティティだったのだ。
その後、2000年代初頭からまことしやかに囁かれた宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』のモデル地という噂が、爆発的な観光ブームを巻き起こす。スタジオ側が公式にモデル説を否定した後も、幻想的な湯婆婆の屋敷を想起させる赤提灯のビジュアルは独り歩きを続け、世界中から押し寄せる大衆観光のアイコンとして定着した。虚構と歴史が複雑に交差する中で、街は自らの記憶を再定義せざるを得なくなったのである。