財務事務次官の権力と年収の実態|歴代人事と天下りルートを徹底解剖
財務事務次官の権力と年収の実態|歴代人事と天下りルートを徹底解剖の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。
財務省内の出世レースにおいて、事務次官への登竜門とされるのが「主計局長」ポストです。省内には主計局、主税局、理財局、国際局など複数の重要部局が存在しますが、予算編成を統括する主計局長を務めた者が次官に昇格する確率が極めて高く、税制を司る主税局長からの昇格は例外的な運用と位置づけられています。
この強固な不文律に緊張が走った象徴的な出来事が、2021年に文藝春秋へ掲載された矢野康治元次官の論文でした。現職の財務事務次官が、与野党のバラマキ合戦を「タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」と痛烈に批判した前代未聞の告発は、永田町に激震を走らせました。政治家への公然たる反旗と受け取られたこの一手は、官邸と財務省の間の深い溝を白日の下に晒す結果となりました。
その後、茶谷栄治前次官の手堅い組織運営を経てバトンを引き継いだのが新川浩嗣氏です。新川浩嗣氏の経歴を紐解くと、主計局総務課長、大臣官房長、主計局長という王道の出世街道を歩みつつ、内閣総理大臣秘書官として官邸の中枢で政権運営を直接支えた経験を持ちます。官邸従属でもなく、過剰な対立でもない「政治との間合い」を心得た人物がトップに据えられた背景には、矢野論文以降の冷え切った政官関係を修復し、防衛費増額や少子化対策財源という難局を乗り切るための人事上の計算が働いていました。